2023.10.16
お知らせ

医学資料室企画展示(森永ヒ素ミルク中毒事件の未開封ミルク缶公開)の期間延長について(この展示は終了しました。多数ご来場いただきありがとうございました。)

 岡山大学医学部医学資料室では,「森永ヒ素ミルク中毒事件」の未開封のミルク缶を,令和5年4月17日(月)から令和5年10月27日(金)まで,期間限定で公開する予定としておりましたが,展示期間の延長について,多くのご要望をいただきましたことから,資料の保存状態等も確認したうえで,令和6年3月29日(金)まで,展示期間を延長することといたしましたのでお知らせいたします。
 森永ヒ素ミルク中毒事件は,昭和30年(1955年)に発生し,1万3,000名を超える被害者と130名の死者(厚労省HPより)を出した戦後最大ともいえる食中毒事件ですが,その原因究明にあたっては,本学の小児科,病理学,法医学分野などが多いに貢献をした事件であります。
 この公開しているミルク缶については,本学疫学・衛生学分野から当資料室に移管されたものですが,この事件の原因となった「ヒ素が混入されていたミルク缶」が,当時の未開封の状態のままで保存されていたものは他には確認されておらず,全国で初めての公開となります。
 また,この未開封のミルク缶の公開にあわせて,当時の社会情勢や医師たちの取り組みを,カルテの文面から直接感じ取っていただけるよう,本学で受診した患者様のカルテ(写真)を,氏名等の個人情報が特定できないように加工したうえで公開しています。
 今からおよそ70年前に起こった事件であるため,すでに過去の事件であると捉えられがちですが,ご存命の被害者がおられ,その高齢化が問題となっているなど,現在でもまだ継続している事件であり,当資料室としましても,多くの方にご見学いただくことで,この事件を風化させることがないよう,社会に問いかけていくことが大切なことであると考えています。

              

◆木下医学資料室長補佐のコメント
 現在,岡山大学医学部医学資料室で展示している森永ヒ素ミルク缶は,昭和30年(1955年)に発生した「森永ヒ素ミルク事件」のときに,実際に販売されていた粉ミルク缶の未開封缶(現物)です。
 ヒ素が混入されていた粉ミルク缶は,ほぼ全て回収されており,空き缶としてはいくつか発見されていますが,中身が入っている未開封の缶は,これが唯一のものと思われます。この未開封缶のロットナンバーを確認すれば,明らかにヒ素が混入されているものであることが分かります。
 昭和30年(1955年)に発生した事件であるため,もうすでに終わった事件だと思われる方も多いかもしれませんが,現在でもその後遺症によって苦しんでいる方たち,被害に遭われた方たちが,たくさんおられます。
 この事件は,現在においても,まだ,決して終わっていない問題であり,食の安全や企業責任の在り方など,皆さまや社会に問い続けていくための貴重な資料として守っていきたいと考えておりますので,ぜひ,当資料室まで見学にお越しください。

          

◆期間  令和5年4月17日(月) ~ 令和6年3月29日(金)
     午前10時~12時,午後1時~5時 (土・日・祝日・年末年始は休館)

◆会場  岡山大学医学部医学資料室 企画展示室(鹿田会館1階)

◆主な展示資料  森永ヒ素ミルク缶  1缶
         患者様カルテ(写真) 2件
         当時の新聞記事(複写) など

◆見学予約方法  以下のURLから,申込み方法等をご確認のうえ,ご予約ください。
         https://oumed.okayama-u.ac.jp/about/anniversary/igakushiryoshitsu/

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