医学部長あいさつ

岡山大学医学部のホームページにようこそ
私たち医学部には、医師・医学研究者等を育成する医学科と、看護師・保健師、診療放射線技師、臨床検査技師等を育成する保健学科という2つの学科があります。私たちは、医学部ディプロマポリシーを通じて、未来の医療を担い医学をリードする医療人及び医学・保健学研究者となる「医のプロフェッショナル」を育成することを広く社会にお約束しています。

岡山大学医学部は、明治3年(1870年)4月に岡山藩が設立した岡山藩医学館を起源としており、第三高等中学校医学部、官立岡山医科大学の時代を経て、2020年には創立150年を迎えました。今日までの150年以上の歩みの中で、国内では中四国を中心に近畿西部地域にわたる幅広いホスピタル・パートナーシップを構築してきました。その関連病院の数は250余にのぼり、多くの本学卒業生が、”医のプロフェッショナル”としてこれら地域の医療基盤を支え、さらに、世界に先駆けた先端医学・保健学の研究に取り組むなど、地域・世界の多様な医療キャリアで活躍しています。現在、岡山医科大学、第六校等学校などを包括して誕生した岡山大学は理念として「高度な知の創成と的確な知の継承」を掲げていますが、その中で医学部には、岡山大学の一員としてその理念を共有し、引き続き地域・世界へ優れた医療人と研究者を輩出し、良質な医療・保健の維持と発展に貢献することが期待されています。

いま、私たちの眼の前には、これまでの経験が殆ど通用しない、地球規模の医療・保健に関する大きな課題が生まれ続けています。このような不安定・不確実な時代にあっても、重い病いに苦しむ多くの人々に良質で安全な医療を提供し、医学・保健学研究の新たな境地を拓くことにより、持続可能な世界の医療・保健の発展、さらには福祉・健康増進に貢献することが必要です。そのためには、新鮮な感覚や考え方を持った次世代の皆さんと、 本学に蓄積された膨大な実践知・科学知を「つなぐ」ことが重要だと私たちは考えています。

冒頭でもお伝えしたように、「医のプロフェッショナルの育成、世界に先駆けた研究」を展開していくため、岡山大学医学部は「医学・保健学の教育・研究における日本屈指の国際拠点」を目指しており、そのためのキャンパスづくりに取り組んでいます。私たちと密接な関係がある岡山大学病院は臨床研究中核病院、並びにがんゲノム医療中核拠点病院として、地域のみならず日本の医療を牽引していますが、これからも私たちは、地域に根ざし、世界の持続可能な医療に貢献する医学部医学科・保健学科となるよう努めていきたいと考えています。

最後に受験生の皆さまへ
私たち岡山大学医学部の特色と強みは、専門性に富み熱意溢れる多くの教職員と、岡山地域ならでは多彩な医学・保健学教育プログラムにあります。ぜひ、岡山大学医学部のアドミッションポリシーをご覧いただき、本学の門を叩いてみてください。未来の医療・医学・保健学を支える皆さんをお待ちしています。

                                                                                                                                                                                 令和6年 岡山大学医学部長 豊岡伸一

医学科教育の特徴

先進的で系統的な教育プログラムを用意しています。入学直後から5~6人のグループで議論と思考を重ねて問題探求するテュートリアルがあります。また、臨床医学のエッセンスを紹介する臨床医学入門、医療介護施設での実体験があります。医学英語では、専門領域での実践的な英語力を伸ばします。その後基礎医学で生命科学の先端を系統的に学び、基礎病態演習においては自主的学習態度が醸成されます。3年次には、「医学研究インターンシップ」があります。これは、学内外、海外の大学で3ヶ月間完全に研究に従事する研究マインドの醸成を目的としたプログラムです。昨年の新型コロナウイルス感染症の影響で海外には渡航できませんでしたが、通常は毎年、約20名の学生が海外で研鑽を積みます。その後、4年次から臨床・社会医学講義が始まり、5年次からは臨床実習が開始されます。臨床実習は基本臨床実習と選択性臨床実習からなり、実習時間は全国大学でも有数の時間数となっています。6年次後半の卒業試験後国家試験を迎えることになります。

また、「先進医学修練コース(ARTプログラム)」も導入しています。これは学部学生の時代から大学院講義を履修でき、卒業後大学院の早期修了を可能にするプログラムです。卒業後、岡山大学病院での研修プログラムに加え、大学病院と関連研修指定病院とによる病院群を構成し、より多彩なプログラムを提供しています。

さらに、大学院の充実に努めており、博士課程では一般コースの他に、臨床専門医養成コース、がんプロフェッショナルコース、分子イメージング教育コース、アカデミックGP(General Practitioner)コース、医療AI応用コースが設けられ、各学生が自由に医学の修得をデザインすることで、個人のキャリア設計に基づく学習を組み立てることが可能となっています。また、修士課程では、通常のコースとは別に、公衆衛生学(MPH)コースも設けており、公衆衛生学のリサーチマインドを持つ保健・医療従事者を養成しています。

保健学科教育の特徴

保健学科では、生命への畏敬と探求心をもち、医療保健活動、教育研究を通して常に自己を磨いて人間の健康と幸福(ウェル・ビーイング)に貢献する有為な人材を養成します。学部教育では、多職種連携の実践であるチーム医療演習や、医師、歯科医師、薬剤師になる学生と相互理解を深めるためにチーム医療論を開講しています。解剖実習を取り入れている保健学科は全国的にも稀です。このような教育システムの結果、医療人としての感性、広い視野と独創性、科学的思考性と問題解決力の向上に資する基礎能力を養います。

看護学専攻では、人間尊重とヘルスプロモーションの精神を活かし、講義・演習・実習のカリキュラム編成や実施に当たって多くの工夫を凝らしています。学生の意見もとり入れ、よりよい学習環境を作るよう努力しています。放射線技術科学専攻では、医学・理学・工学の基礎学問の修得、最新の放射線機器の操作を含む幅広い実践的技術と応用力の獲得、医療人としてのモラルの向上を教育理念としています。検査技術科学専攻では、幅広い基礎知識と応用能力、たゆみない探究心と医療人にふさわしい人間性を育てて、科学の成果をいち早く医療に生かすことを目指します。

さらに学問追究心が高まった場合には保健学研究科が用意されており、熱心な研究指導のもとで、修士号、さらに博士号の取得の機会が選択できます。