2026.01.13
お知らせ

冨樫庸介教授が第22回(令和7年度)日本学士院学術奨励賞を受賞

 学術研究院医歯薬学域(医)の冨樫庸介教授が、第22回(令和7年度)日本学士院学術奨励賞を受賞しました。
授賞式は、令和8年2月3日に日本学士院(東京都)において、日本学術振興会賞授賞式と同時に行われる予定です。

 日本学士院学術奨励賞は、若手研究者を顕彰して今後の一層の研究を奨励することを目的として平成16年度に創設されました。
本賞は、すぐれた研究成果をあげた若手研究者のうち、今後の活躍が特に期待される者に対し、日本学術振興会賞受賞者の中から毎年6人以内に授与されます。

<授賞対象業績>
 ミトコンドリア伝播による新たながん免疫逃避機構の解明

<授賞理由>
 冨樫教授はがん細胞が宿主の免疫反応から逃避する機構を次々に明らかにしています。なかでも、がん細胞の変異ミトコンドリアが腫瘍浸潤Tリンパ球に伝搬してその機能を抑制するという発見は驚きでした。がん細胞はしばしばミトコンドリアゲノムに変異を有しており、それが細胞外小胞などを通じて、周辺のTリンパ球に水平伝搬していたのです。しかもそのようなミトコンドリアはマイトファジー(ミトコンドリア分解機構)に抵抗性で、結果的にTリンパ球内でのコピー数が増加することになります。変異ミトコンドリアを持つTリンパ球は代謝障害を生じてがん細胞を攻撃する能力が弱まってしまい、がんは宿主免疫から逃避することができます。冨樫教授の発見はがん細胞の免疫逃避機構に全く新しい観点をあたえるだけでなく、がん免疫療法の際の患者層別化・ミトコンドリア伝搬阻害剤の開発など、今後の新しいがん医療への展開も期待されます。

<冨樫教授のコメント>
 このたびの受賞を大変光栄に存じます。がん細胞が持つ変異ミトコンドリアが周囲のT細胞へ移行し、その機能を低下させることで、がんが免疫から逃れる新たな仕組みを示しました。約5年前、研究室を立ち上げたばかりの頃に、他にはない着想から独創性の高い研究に取り組みたいと考え、偶然出会ったテーマに挑戦しました。多くの幸運と周囲の支えにも恵まれ、本研究をここまで進めることができました。今後も、そのような着想や偶然の出会いを大切にしながら研究を進めてまいります。
 今後は、免疫療法が奏効しやすい患者さんをより正確に見極める指標の開発や、ミトコンドリア伝播を抑制する治療法の可能性について、基礎と臨床の両面から検証していきたいと考えています。科研費を含む各種研究費によるご支援に加え、日々研究を支えてくださる共同研究者、研究室メンバー、臨床現場の皆さま、そして関係各位に深く感謝申し上げます。

*詳細:日本学士院ウェブサイト
*関連ニュース:冨樫庸介教授が第22回日本学術振興会賞を受賞

【本件問い合わせ先】
学術研究院医歯薬学域(医)腫瘍微小環境学分野
岡山大学病院呼吸器内科
教授 冨樫 庸介
TEL:086-235-7390
学術研究院医歯薬学域腫瘍微小環境学分野HP
岡山大学病院 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科HP

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